蠅車掌/(罧原堤)
がらその日のことに思いをはせていた。あの少女を何とか助けてやらないと、と。それにいつまでもここにはいられない。残り少ないイチョウの葉ももうじきすべて舞い落ちてしまうだろう。寒風に吹きとばされて。今までなぜ気づかなかったのだろう。今までなぜ他人の心の痛みがわからなかったのだろう。なぜ自分本位に生きていて恥じいることがなかったのだろうか。
『 今日 平日だな
学校だ
行かないと、
あ、僕、27才だ、
今、学校に行っても昔の同級生は誰もいない
そもそも授業をうけれるのか?
もう 遅いんだ 。今さら決心したって、しめだされてる。いまさら決心してもしめだされてる。 』
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