温泉街/捨て彦
 
場に倒れこみながら薄れ行く意識の中で、トミーが学生たちに向かって「ドントウォーリー。アイ・ビリーブ。ドンウォーリー」と言うのを聞いた。
そのままおれはどうやらトミーの宿に連れて行かれたようだった。目が覚めるとおれは布団に寝ており、傷もしっかりと治療されていた。そして、そばに正座しているトミーと小林君に気がついた。この小林君というのは中学生だが英語が話せる秀才であり、なおかつ野戦医療にも長けている。出生は全くもって不明であり、おれは幾度となく密偵を送り込み彼の素性を調べようとしたが無駄だった。彼は超能力者ではないが、なぜおれとトミーの間にいるかと言うと、トミーは日本語が話せないからだ。つまり小林君
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