温泉街/捨て彦
 
地でいる最中、突如デーモンは空中から襲来し、おれの背中を鋭く恐ろしい爪で引っかいたのである。
湯におれの目の醒めるような鮮血が飛び散った。
「あぎゃァ!」
おれはパニックに陥った。一体何故だ。何故奴らは二日連チャンで襲撃してきたのだ。今まで二日連チャンで攻撃してきた日など一度たりともなかったはずだ。なんでや、なんでや。おれはつぶつぶと小さな声でなんでやを連呼しながら、足湯を飛び出て温泉街を逃げ回った。なんてことだろう。今日は水曜日。無論超能力は使えない。旅館に戻ればこういったときのために密輸した護身用のトカレフがあるのだが、絶望的なことに滞在中の旅館は逃走経路とは間逆に位置する。念のため逃走
[次のページ]
戻る   Point(2)