十一月/豊島ケイトウ
 
 たとえあなたが農夫でも農夫でなくてもあなたが文章家でも文章家でなくてもあなたが小鳥でも熊でも蛇でもあなたが空でもあなたが風でもあなたが土でもあなたを好きわたしはずっとあなたのそばにいるあなたとキスをするのも好きだけれどあなたと話すのはもっと好きあなたのつくりごとやあなたの声そのものがわたしのたましいにキスしてくれるだからうんとたくさん笑って駆けてつながっていましょうわたしはたまにあなたを力いっぱい抱きしめたくなるそれはいとおしむためでも慈しむためでもなくてあなたをメチャクチャに毀してしまいたい衝動に支配されるから――わたしはあなたに愛の色を訊きたいあなたにとってそれはどの色に近いのかあるいはこの
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