リトルナゴヤとカブトムシーズの冒険-1/水町綜助
まずにはいられない
そう言えばこの急行列車のお世辞にも広いとは言えない客室の中にも
柱やらベッドの縁、飲み物を乗せる簡単な机、床にも、ペンキでなにやら書き込まれている
検札に来たターバンの男が、訝しげな顔で客室を見回し、マ氏に清掃代を請求していたが、マ氏は
「売るべきものに対して金を請求されてしまったよ。しかしこれもグロスの金額に丸め込んでしまおう。媒体を買ったワケだからね。いささか掲出期間は短くなってしまったが」
と軽くジョークめかして一人笑った
この不思議なサングラスの男
つるの部分に埋め込んだルビーの眼のゾウの金細工が輝く男
それはぼくの恩人だ
この旅を企画したのも彼にほか
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)