リトルナゴヤとカブトムシーズの冒険-1/水町綜助
ほかならない
ぼくは遠く流れる車窓の風景に目を戻し
しばし追憶に身を浸すことにした
土は赤い
木々はまばらだ
灌木のような
小さな草の茂みのような緑が赤土を盛り上げ
風景に色味を与える
列車はバラナシへ入る
その後ブッダガヤへ
甘露滴る曼珠沙華の白い花にかぶりつき
僕は乳ガユをちゃぶ台返しし悟達する
因縁果を三つに切り分け
順番を入れ替える
ぼくは悟達するから
ここへ来たのだ
だから
興行主の旧知の友であるマ氏に助けられ
サンデーロックのプロモーターをカジノのボディでぶったたき
カブトムシーズの永遠に奏でられることのない楽器のローディーを務め
会社をたたみ
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