矛盾する二つのものの考察/チャオ
 
り、闇の中から掬い出した物事の可能性なのだ。可能性は、時として、膨大な時間の渦に飲み込まれ、闇に還元されてしまうこともしばしばだ。だが、光に当てられることのなかった意味たちには、もはや、その可能性さえも、切り捨てられているのだ。
過去に残される意味たちは、その今という瞬間の神によって選ばれた時間の、産物に過ぎない。

人は、全知全能ではない。が、その瞬間の中に、すべての意味、または、無意味を託されているのだ。それに感覚を突き刺すのならば、僕らに、答えられない問いはない。

失うことは、得ることと同じだ。矛盾しあった二つの意味が、こともあろうに、共存し、そのひとつの方向を示しだされたとき、
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