うでげ/捨て彦
 
れる。好きなように伸びているあの毛を両手で思いっきりむしりとってやりたい。

「なぁ」
「・・・」
「なぁて。」
「なんやねん、今大事なとこや」
「・・・」

男は私が腕毛を嫌いなのを知っている。知っているけれども、私のために剃ったりとか、そういうことはしない。私も別に剃ってほしいとは思わない。私がむしりたくなったときにむしればいいので。
この前男の腕枕で眠っていたら、腕毛がもさもさと私の鼻の頭を触るので、夜中なのに目が覚めてしまった。こんなものごときに安眠を妨げられた。って思って、で、一度気になってしまったら、もうなかなか眠れたものじゃないので、私は一人暗闇の中でイライラしてい
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