RED/三田九郎
 
呼吸するみたいに愛してるとかしてないとか言われても 
表情の愚かさが味覚に残っていて忘れらんない 
惜しいシュートが何度も何度も何度も映し出されてた 
でもあの瞬間の落胆はあの瞬間にしかなかったものだ 
嗚咽と吐息が混濁した抱擁を夜通し続けても 
君の告白にもその身体にも息づかいにも動揺を覚えなかった 
解説者が勝負の行方や敗北の理由について解説してた 
精神論で何もかも片付けてた、敗戦後の儀式みたいに 
吐き出しきれないため息が身体に充満して窒息しそう 
倒れたグラスからテーブルに広がり絨毯にしたたり落ちる 
ワインの赤に私達の将来を重
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)