春めく色たち ★/atsuchan69
 

   重いピアノの伴奏がつづく

わたしは、透明――
硬く、そしてつめたく
淡海まで凍りついた冬の終わりに
囀る鳥の声を聞いた、とうめい

   雷、雷、そして暫くの沈黙

 でも、きっと――
彼は雷鳴のように轟く声で
わたしにつよく何かを叫ぶと
疾風ように丘を駆け降りてきた

 でも、きっと――
彼は迷宮のように行き先を隠した
朽ち葉のつづく深い森の道を抜けて、
漸く夜の終わりに熱いキッスを届けたの

   (ピアノの伴奏が止る)

   七色の光を浴びた女と、
   その背後に立つ四人の妖精。
   静やかに弦楽合奏からはじまり、
   管楽器
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