paper flighter/mizunomadoka
 
小学校の紙飛行機ブームのとき、
校庭からすこし離れた水飲み場で、銀杏を見上げて考え込んでいる少年がいた。
風に乗りすぎた最高傑作の機体を枝に引っ掛けてしまったのだ。

少年はカバンから堅めの紙を取りだして別の飛行機を折る。
細くナイフのようなその機体は、
空気抵抗を極力まで減らした弾丸のように飛ぶ形をしている。
それをぶつけて落とそうというのだ。

少年の手から放たれた機体は目的に向かってまっすぐに飛び、
直前の葉群に当たってひっかかった。

少年はもう一度同じ形のものを折る。今度は枝に当たってはね返される。

「これはもう飛行機じゃないね」

落下地点に色白の上級
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