鳴子沈夢 / ****'01/小野 一縷
沼に
なだらかに垂れ 溶けてくるのは
ただ一つの ただ一つへの 全てへの
融解へ向け 流れてくるのは
救済ではない 苦難ではない 一事象
これが 物語の ただの一章ならどうだ 楽しめる しかし
この嘘は 誰の為の逸話でもない 事実 誰の場所でもない
ここには元々 何も無い 無二の 完全なる停滞
球状に均衡する 重力と浮力の芯
見よ 現在 ぼくだけの 現実を ぼくよ 夜色の留まりよ
喋るな その一息を吐く為に 重く 温い沈澱から 浮き出たしたばかりに
逃した才気を 悔いた日々だったろう 消えるべきは 言葉 道具 主観
ここに 観点は 一つ
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