ウミネコの部屋/月乃助
 
遠をさまよっている
細いまつげの先を震わせて、誰の夢をみているのですか
抱き寄せては すぐに声をもらすその一点をなぞってみたくなる
甘い陶酔を覚醒させることだってできるはず

そばにいて良いのですね
明日を確かめる言葉をさがしながら、
きまってそれは、午後の陽の中を漂ったりしているけれど
今を想いとどめる残酷に あなたの寝顔を見つめなおす
いやでも思い出の中に刻み込まれてしまうから

時が走りゆこうと それに乗り遅れはしない
部屋の中にする口紅水仙の芳香に、少しばかりむせながら
明かりを分け広げるそれに、身を任せるように眠るあなたへ
僕は香水を知らずにいた、それがあなた
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