ペイター「ルネサンス」(1)/藤原 実
ながら、しかも最大多数の生命力が最も純粋なエネルギーをあつめる
焦点につねにこの身を置くことができるのか。
この固い宝石さながらの焔を絶えず燃やしつづけること、この恍惚の状態を維持
すること、それが人生の成功にほかならない。ある意味では、習慣を作ることが
すなわち誤りであると言うことすらできよう」
「われわれの経験がかくも華々しくしかも恐ろしいまでに短いことを意識し、全存
在を糾合して見ること触れることに必死の努力を注ぐならば、見るもの触れるも
のにまつわる理論を組立てている暇などありはすまい。なさねばならぬのは、つ
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