ペイター「ルネサンス」(1)/藤原 実
去るもの」であり、リアルであるのは「すべて一瞬」のこと
で「捉えようとすれば消え去り、現在あると言うよりあることをやめたと言うほうがむし
ろあたっている」というようなものである。
そのようにたえず流動し分解してゆく世界の瞬間のリアリティの追憶として「印象」を考
えている。
そしてこの瞬間を見逃さないこと、「対象をあるがままに見る」ためには、繊細な眼が必
要なので「二人の人間、二つの事物、二つの状況がおなじように見えるのは、要するに目
が雑であることによる」と言う。
「われわれはいかにして見ることができるのか。いかにすれば、一点から一点へ急
に移り動きなが
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