魚座の裏切り者の歌 / ****'04/小野 一縷
巧妙に歪んだ喇叭の吹き手
周回する加速音 内耳に
羽音が 轟きを 発生させる 黒い渦を微分
匂う 硬く 暗く
冷え過ぎた鋭角の 嘴の麓で嗅ぎつけた
永久凍土 その地層の硬度のコントラスト
きりきりと 眉間の奥を鼓膜から締め回す
黒い氷の渦
どおりで頭痛が 血生臭く回る
奥歯にまで 血が沁みる
顎から脳天に向けて 猟銃の銃身二本
銃口の冷たさ 皮膚と鉄の隙間から
辛い 火薬の黒い匂い
沁み込んで 焼付く鼻孔の奥
じんと 凍み切れる痛み
千の火花の輝度 素早い鋭刺の雹にと
砕け散り そこら中に
飛び散らかることを望んだ
そこに
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)