もしもし亀よ、かめきちさん/窓枠
 
月が過ぎ
いつからか、かめきちが王様で
私が家来のような役柄を築いていた

足の遅いかめきちは玉座に座り
その横で立ち尽くす
私はさしずめ近衛兵

守ること
そのむつかしさを知る時期でもあった
いつもみたく河原で散歩していたその日
道端まで進軍したのが間違いだったんだ
目を逸らしていたほんの一瞬の出来事
車の通り過ぎる音に振り返れば
そこには見るも無惨なかめきちの姿

死ってものが受け入れがたく
子供だけに無抵抗で
為す術もないまま泣いて
誰かを責められずには居られなかった

ハンカチに包んで
家に帰ればすぐさま母ちゃんに怒った
ハンカチを広げて、喚き
[次のページ]
戻る   Point(0)