連詩「四季」 竹中えん 夏嶋真子/夏嶋 真子
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蛹と波の結び目から赤星が生まれ落ちた。
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星はなにを伝えるだろう。
縷縷と絶望のみをひびかせて、蛹の囁きがやまない。
風は幾たびも滅び、そしてまた生まれ、善意を駆逐する。
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絶望を歌いつくしても、羽化を望んだ蛹は
真っ白な花をつける。
月の輪郭(にそって(咲く花びらであのひとの)唇)をふさぎ眠る。
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あのひとは自由でしょうか。そんな思想ばかりが降り
世界中が紅く染まるなか ねえ白いのはわたしね。
蝶になりたかった。どこまでも飛びたい
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叶えられない願いの全てに初雪
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