連詩「四季」 竹中えん 夏嶋真子/夏嶋 真子
 
初雪が降る
わたしは雪の抑揚をまねて口ずさむ
白に白、重ねた夜の陰影にあのひとの影がまぎれこんでいる。


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心が火傷して疼いてしまうのです。
まっしろな世界中の(、そしてわたしの掌へ降るこの、)蝶を
抱きしめよう。さびさびとして静かなこの枯野で


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わたしの火が、蝶たちに銀の烙印を押すと
枯野の炎は凍りつき時計と磁石は役目を失う。
(あついのです、)星鳥が鳴きわたしは小さく絶命する。


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焦土(とは恍惚の謂いである(、しにたがり、の恍惚))に
春は ぷすぷすと芽吹いてきたの。砂糖壺
を、開けば砂糖菓子の蝶。たちがほろほろと崩れていく


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柔らかな光に朽ちたわたしがほどけてゆく。わたしに回帰する、
わたしたちが花という花へと結ばれて咲いていくの、
((蝶の輪廻、を知る)春、)わたしは女を歩きはじめた。


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