焚き火がしたかっただけなのに/草野春心
 
したいけれど
 あいにくそんなもの何処にも売っていやしない
 だから身体も精神も
 肉も骨も魂も心も
 それこそ一緒くたになって
 何の因果かひとつの僕に同居しているわけさ
 喧嘩はよせよ



 それから
 それから(引き延ばすということは畢竟)
 それから(水で薄めるようなものだ)
 僕はベッドから出て洗面所に行き
 洗面器に水を溜めた



 それから戻って
 ベッドにもたれかかって
 床にぺたり
 ライターの火をつけて
 その火を
 ティッシュペーパーの端に移動させた



 その薄っぺらで柔らかく白い繊維は
 あっという間に燃えてゆ
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