焚き火がしたかっただけなのに/草野春心
 
も届かない場所で
 僕は
 引き裂かれた想像が
 宙に舞うのを眺めている
 透明な風が
 透明な銀杏の葉を運んできて
 それも一緒くたに宙に舞って
 灰色の
 光の塊を
 かき混ぜてゆく



 疲れているだけさ
 多少ノイローゼ気味で
 自意識過剰に堕しているだけ
 それだけのことなのさ
 だが
 自己はたえず
 自己を呼び
 そして次なる自己を呼ぶ
 そいつらは対立したりしない
 ただ互いに挨拶もせずすれ違うだけ
 そいつらには進歩も進化もない
 全然ヘーゲル的じゃないのだ



 僕はデカルト的な裁ち鋏で
 身体と精神をチョッキンした
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