『nopain island』/川村 透
たちは
姉妹のように手をつないで険しい坂を越えてゆく
胸元にはおそろいの、蝶、のような刺青、鎖骨にきらきらしく汗の玉、光らせ
猫のようにあえぎながら目をつむり
いやな匂いのする沼のそばを通り過ぎると歯のように白い灯台が見えてきた
ごつごつと海に囲まれたその見晴らし台から、崖、を仰ぎながら二人は
幼女のようにたどたどしく会話する
--神島に、ひまわりの咲くところがあって、監的哨の、あのね
----猫がいたのね?
--監的哨に向かう途中に灯台が見えて
----うん、その緑の斜面に猫たちの国があって
--子猫が地面から、うっすらと顔を見せたの
----割れた土管の中にもぐりこ
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