『nopain island』/川村 透
 
そうに見えた
オモイダシソウ
さしだされた、片方の羽を、少女と同じように自分の胸元にあてがってから
彼女は舌の上にそのあまやかなひとひらを、預けるのだった。
ソーダの、味
オボエテイマシタ
So sweet sweet sweet sweet my piece
ソーダ色の海
ワスレルコトハデキマセン
Listen to my heart
キミニハキコエマスカ?
二人の少女は潮騒の島、神島へ帰ろうと、囁きをかわし、泣いた。笑った。
蝶が舞う
アサギマダラ、はにかんだ雲、蒼い崖が切り立つ潮騒の島
二人は子宮ごと海を揺らすような無骨な定期船を、降りた
海をかきまわすエンジン
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