『nopain island』/川村 透
少女の足元を洗う
子どもの頃ここで、小枝にかけてあった花柄のワンピースが
風にさらわれたことを思い出す
あおぞらに噛まれ鷹の爪にさらわれたみたいに海と空の隙間に消えた
あたしの花柄のワンピース
あたしはこの砂浜で魚になって、埋葬してほしいって、誰かに言った
こんな風に母も、頬を砂で汚して青い青い海のみず、
を手ですくってぬぐったのだろうか?
もうワンピースはこんなにも薄汚れ濁って
そう、透明なんて、うそ
コンソメスープみたいにうみの水は
うそ
Maybelle、no no no-pain
うそ
You are sweet W.R
うそ
きみといつかこんなふうに出会う
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