石炭船の船長の話/狸亭
 
フィリッピンの
バタンガス地方
カラカの
小さな漁村が消え
三〇万KW石炭火力発電所 出現

あつい日盛りで
海には風もない

遥かセミララから
ふるぼけた石炭船が着いて
なんにもない 殺風景な船長室で
キャプテン・ガルシアに会う

キャプテン・ガルシア
やせて小柄でいろくろで精力あふれて
目も口も やけに大きく笑っていて

あつい日盛りで
海の風はものうく
石炭をおろすクレーンの音が重い

おおジャパニーズ
わしはジャパンが大好きさ
子供の頃から
ジャパニーズの船長について一人前になって
はじめての遠洋航海もジャパン
ジャパンの港
みなとみ
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