いつかの夜みたいにまた語り合いたい/かんな
 

眠れない夜の過ごし方はいつしか忘れてしまったけれど
うれしい話ややさしい話やかなしい話をしては眠らなかった
いつかの夜みたいにまたあいつと語り合いたい

とりとめのない話は暗やみに目をこらして
おやすみと言ってからがほんとうの話のはじまりだったりする
とおい記憶の断片をピースのようにお互いもちあわせてははめる
そんなことをくり返すのだから

あいつのことを語り出すにはきっとながい月日がいる
そう思うやつがいる
それはとても貴くてどこかにしまっておきたい思いで
出会いと別れを語るようなつまらないことじゃない

普段は思い出しもしないけれど眠らない夜にふと溢れ出す

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