時代/森の猫
もっと息子と向き合えよ
と 夫は言う
筋ジストロフィーの息子は
23才になった
もう 完全に大人の男だ
あの頃
あの6年弱は
わたしにとって格闘の時代だった
小6の担任から
中学からは 専門の養護学校に
入学させたほうがよいと薦められた
小5から車椅子の生活だった
養護学校の方が自由に生活できると
息子の為
養護学校のある市へと引っ越した
毎日のことである
まだ2才になる
末娘を抱えての送迎
引越しの心労から
欝の症状は悪化し
死にたいと
思う日が続いた
深夜 早朝
5階の東のベランダに出て
死への願望を口にする
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