酒場にて/チャオ
 
もの全部買えると思ってた。
今の僕はいつも、電気代のこと、食費のこと、明日の呑み代。交通費、家賃。いつも、欲しいものなんかとかけ離れて、お金のことばかり考えてる。クーラーのついてない部屋で、窓を全開にして、入ってくる虫たちを両手で殺しては、いつもどうにもならないものに、苛立ってみたりする。

必死に何かに反抗して、「僕」という人格を僕自身が何とか手に入れた。それでも、あのころの僕は、もっと、偉大で、もっと無限だった。川に行けば何でもそろっていたし、100円があれば何も文句はなかった。夕日が落ちてくれば、僕は、家に帰る時間だと感じていたし、友達と話していれば、笑うことを忘れなかった。
言いよ
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