「秋のわかれる」/月乃助
 
や歓喜、愛しさや憎しみさながら
対峙しながらも、目的に向き進む先を与えられ
ホイールさえもなく 錆びを露呈する無残であっても
なおも互いを要する姿だったはず
何者にも邪魔されることなく眠っているように
曲がった支柱を腹に刺す 痛みなどないそれが、どうしてか
痛ましく見えるのは、残骸などとよばれるまえの
あるべきふたりの恋人達のような姿を知るためか、
陽のなかに死に絶えながら、まだその息を潜めるのは、
おまえが連れて行ってくれる
疾駆したその夢の先への出口がそこだから

昼と夜の長さが変わることのない
公転上に見まがうことなく存在する
季節を裂く秋分、冬に向かい始める道行
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