製氷器。午前0時。/あぐり
 
目を異様に見開く。暗闇の中で製氷器をかき抱きながら目を異様にぎらつかせて見開いている僕はおかしいですか。こんなことを考えていたら心の灰がもっと、もっと熱をもって、指先たちから熱を奪いながらどろどろしていく。これでは製氷器が溶けてしまう。あの素晴らしい凛とした直線のフォルムが崩れてしまう。冷まして、冷まして。息が荒くなって吐息・溜息を吹きかけては冷ますけれども。肺も熱をもって全く冷めやらぬ気配です。ハロー、ハロー。ハロー、ハロー。モールス信号なら・- ・・-。・-・・-。もう言葉には出来ないのです。-・- -。-・- -。指が動きません。目だけがぎょろりぎょろりと動く、暴れる。目に見えない光が欲しい
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