左耳/フミタケ
 

君は海の底の深みから誘うから
時々、潜水して
溺れる
どうしようもない軽さから逃れられない僕は
やがてまた
海面へ一人浮き上がっていってしまう
潜って溺れて浮き上がっては繰り返す
地下鉄
終電車
地上への階段を上がる時の
モヤにまかれた
夜の空の黒は
一人で生きていくにはもう
あまりにも寒々しく
果てしない
メールをくれて
ちょっと忘れる
だいぶやられて

愛し合う日はまだ
一人自転車をこぐ
23時
手をはなす事はとてもじゃなく
灼熱の太陽に灼かれ続ける
24時
痛覚をなくしたように
身体は
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