左耳/フミタケ
体は熱を帯びて
体温は蓄積し
沸点をめざし
左耳で拒む夏至にそっと指で触れ
右耳の甘い白夜をひとしづく舐め
今日までの日々が狂っていたのか
今からの日々が狂っていくのか
わからない
引き裂かれて迷う心を抱き寄せる
抱きしめて抱きしめて
何が変わっていくんだろう
抱きしめたい
抱きしめたい
抱きしめているのに
もう一度
抱きしめたい
東京中のワンルームマンション
そのひとつひとつには
ひとりづつ迷子がいる
それぞれひとつづつ握りつぶして
ぎゅっと小さく握りしめ
星空へと放り投げる
甘えさせてくれる女を
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