通学路/百瀬朝子
 

ベソかく私を
母は許さない
登校するまで許さない
顔面をぐしゃぐしゃにして
大声で泣き喚いた
私の弱さを認めてほしい
学校に行く意味があるなんて
わからないまま
あの通学路をとぼとぼ歩み
決められた席に座って
煮える苦痛と羞恥を
辛抱することに
どれほどの
意味が
あると
いうのか
わからないまま
母に許されたい私がいる
私はベソを拭いながら、
中学生の私ならむき出しの反抗心で「クソババ」と罵倒したろう
高校生の私なら部屋に引きこもるかよその町へ出ただろう
小学生の私は玄関の重たいドアを押し開ける
太陽光
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