ちょっとだけみかたをかえれば、てきにも、みかたにもなる、とうきょうえき。/ひとなつ
 
ど。)

「でもね、ちょっとだけみかたをかえれば、それは、君のみかたになってくれるんだよ。」

ホームから降りて、線路で石ころを蹴っていた僕に彼はどこからともなく話しかけてきた。

あ、カヲルくんじゃないか。ひさしぶり

僕がのんきにそう答えると、彼は「危ない、危ない」と半笑いで警告を発した。

ちょっと顔をあげてすぐに気がついたことだが

僕が蹴っていた一本のレールに乗っかった電車はむこうから物凄い勢いで走って来ていたのだ。

「大丈夫。電車は止まるから、線路の端まで走れ、走れ」

彼の助言どおり、僕は走った。

“シカに注意”の標識のシカの
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