鋸でぎこぎこ切っているのだ/人 さわこ
にしまおう。難しいことじゃない。生まれたし生きる生まれたし。そして大草原を泳ぐよ。小石で足が痛んでも、世界が終わっても、あなたが居なくなっても、今日が過去になっても、音楽が滅んでも、私というものが、消えて無くなっても、今夜星が降りたら、月に豚を刻んで胸にしまおう。真実はいつもひとつ。真実と嘘はいつも瓜二つ。本当のことを知りたくて、私たちは耳を澄ます。ざわめきに思いを馳せて、また必要の無い過去が増えて行く。絶望に未来を奪われて、失くし物は二度と蘇らない。言葉を持って歩いていく。立ち止まって何かを捨てる。どこかの螺子を緩ませたまま、求めたものを垂らしながら笑う。そして、いつもようやく気づく。眠って、触
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