悲しいときのふたり/みぞるる
)
***
恐らく人よりも敏感な私は
教室の一番後ろの席から窓の外を眺めるのが好きだった
ひとつ
またひとつ、力尽きてゆく銀杏の葉は
誰よりも私のことを理解している
愛されているのか、いないのか
その判断を下すためには、あの落ちてゆく葉のように
自身からひとつずつ優しさを落っことせば良いのだろう
彼が私の葉をむしり取り始めるのか
一枚一枚拾い集めてくれるのか…
愛している人間ならいくらでもいた
私を 愛している人間は 何人か
黄色い葉が揺り篭のように秋風を切って落ちていった
(私は歪んだ鼻を気にしていた)
**
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)