悲しいときのふたり/みぞるる
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彼へのメールは
返さないことにした
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ただいま
の声はすぐさま玄関の床に転げ落ちた
コンビニで買ってきたショートケーキを開けると
赤い苺も転げ落ちていた
「私が誰よりもアンタを愛してるのよ!」
母の叱咤の帰結はいつもこうだった
この苺のように
捨てたくても捨てきれない台詞だ
だが台詞にすぎない
それに勝るものを
所詮子の私は所持し得ないだろう
ポケットの携帯が振動した
2008/12/25 0:02
from 彼
subject 無題
お前最近優しくない!
その言葉に私は何よりも救われる
(もっと違う言葉があるのにね)
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歪んだ鼻は
歪んだままにしておくことにした
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