・∞00〇◯00時◯〇00∞・/板谷みきょう
隠れする
それぞれが生きる速さの違うことを
頭で理解はしているが
心では認めないそのさま
底が見えるような瞳と
白く濁った眼球で
短い先を見詰めながら
息も絶え絶えにして
肩を波打たせ
口角に泡さえ浮かべているのに
衰えた足腰に
鞭を打つ如く歩みを進めているのに
それでも遅いと言うのか
千切った縫い目のほつれた糸を
いとおしむような行為を繰り返す老婆らと
生まれては打ち消される面影を
いさおしく固く握り締める老人たちに
舌のひび割れのような意味を押し付ける
託されていることと任せられたことを
免罪符に誇らしげに
年老いることを許さない決意を抱
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