・∞00〇◯00時◯〇00∞・/板谷みきょう
を抱き
忘れていることさえ忘れた姿を軽蔑している
食事も排泄も時間で区切ることを
最良の環境だとでも言うのだろうか
独りで逝ってしまった人たちと
別れて残り尚、生き続ける人たちが
ささやかな幸せを独り呟きながら
室内灯のともる閉ざされた廊下を
雲の中を抜けて来たからこそ
痩せた記憶を恋しがるかのように
空をまさぐりながら彷徨う
頑丈に施錠され
開かれる事はないその扉の向うは
家路に続く郊外へと続いているはずなのに
夜中に久し振りに発ち帰ったその場所で
くじけた気持ちが満ちてくるのは
自分が気難しいせいだ。
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