原風景/影山影司
 
し時間がかかった。丁度耕し終えた畑の土に肥料を混ぜたような見かけだった。
 彼らはロボットか何かが格納庫に収納されるように手足を折り曲げ、糞の上に座り込み、理性を感じさせぬ顔つきで草を食むのである。

 たった十年も生きていない小生だったが、奴らは危険だ、と認識するには充分であった。

 それから十年程経った。
 父母の仕事の都合で小生達家族はスラム街へと引っ越した。スラムは得体の知れない人間と金と危険で満ち溢れていたが、糞だのサイロだのは縁遠かった。
 ある日小生はテレビジョンを介して自動乳搾り機なるものの存在を知る。
 それは、いわゆる婦女の使う豊乳機(吸盤状の乳房
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