原風景/影山影司
乳房を大きくする器具)とはまるで違い、何十もの乳を搾ってしまう、業務的なものである。
先ず、それの全景は巨大な円状になっている。古代ローマのコロシアムか、またはどこぞの審議会か。ともかくドーナツのように真中をくりぬいた構造で、牛達はそのドーナツ部分の上に乗っかって、余計に動いたり落っこちたりしないようにバーで固定される。
ドーナツの真中、中空になっている部分には人間が入って、彼らは牛の乳房に金属製のホースを取り付ける係を行う。ササッと牛の乳房についたゴミや糞などを取り払い、その触覚じみた部分にホースを取り付ける。牛は何を考えているのか目を細めて、タンクにはだくだくと体液が貯蔵されるので
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