原風景/影山影司
ケツが糞を垂れ流しているのかと思うと、得体の知れない恐ろしい気分に襲われるのであった。
またある時、牛舎というのは大変臭いものだと学習した。田舎というものは大抵、臭いものであったので、発見するまで大分時間がかかった。当時の小生は、たとえばどぶの中でザリガニを捕まえたり、母がガーデニングと称して庭木に水をやるのを眺めたり、近所の田んぼの中に隠れているカニだかエビだか良く分らない虫けらを粉々に粉砕する遊びに興じていたので、野趣な香りに対して、非情に鈍感であった。
奴らはもふもふした消し炭のようなものの上に鎮座していたが、それが糞と何かを混ぜ合わせたものだと気がつくまでにはもう少し時
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