原風景/影山影司
 
うな気がする。

 教会のある山とは反対の方向に牛舎はあった。
 四方を畑に囲まれていたので、遠くからでもその姿は良く見えた。
 茶色っぽい木枠のあばら家に、魔法瓶を突き刺したような餌だめ。
 牛舎は全体的に黒っぽく見えた。少なくとも小生の愛するウルトラマンや仮面ライダーのようなハイソなカラーリングではなかったと記憶している。
 肉牛か、乳牛か、それは思い出せないがとにかく奴らはさしたる障害とも思えない木組みの檻にギウギウと詰め込まれていて、時折思い出したように尻尾を振った。尻尾を振ると一間置いてボタボタと糞が垂れ落ちることを、小生は発見した。平和な村には似つかわしくない危険
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