「戦争」の虚偽と「正義」の再構築−「存在の彼方へ」を読んでみる18/もぐもぐ
 
実ではない。疑わしきは殺すべきという仮定は、全ての相手が自分を殺したがっているというのが現実なのだ、ということを、なんら証明しない。
「戦争」の恐ろしさは、「脳裡のみにある」仮定が、「現実」と取り違えられて通用してしまうことである。

人を見たら泥棒と思え、というのは世渡りの智慧であるが、世の人が常に全て泥棒ではないというのは自明である。「戦争」は、全ての人が泥棒であるという「現実」を主張する、摩訶不思議な威力である。

言うなれば、戦争「だけがすべて」と思わせるのが、「全体性」「戦争」の威力であり、その虚偽である。宇宙には果てがある、若しくは果てがない、このカントのアンチノミーと同じ種
[次のページ]
戻る   Point(1)