記念写真のような/水町綜助
の窓があって
その向こうになんだかわからない広葉樹が一本立っている
少しだけ背の高い木で
葉の形がここからじゃよく見えないけど
黄緑色ですごくきれいだ
風とか
光にときどきもみくちゃにされて
まるで駐車場を駆け回ってたこどもの前髪だよ
青い日陰で横並びに
煙を吐いている僕らは
すすきの、ざざあと流れる様を
くろい眼に映して
青色をうかべて
折り重なって続いていく
丘のつらなりをみどりに
あふれさせて
走り回ってきた
庇の下は青くてしずかだけれど
冷たくて胸が騒ぐ
***
窓辺に一幅の絵として
向かい合うようすと
影として開きかけた口唇
語ること
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