記念写真のような/水町綜助
 
ことよりも
語られている
そのことを
瞳の奥に思い出して
ぼくたちは諳んじる


 オレンジの皮むいた
 目に染みる、柑橘のみずみずしさが好きなんだ
 「で?」なんて言うなよ
 とにかく満ちていくんだ
 嬉しくてしょうがないほど


  *


筏ができたら
ずんどうにたくさんのカレーライスをこさえて
白いシーツでいいから
帆をいっぱいに張って
うなばらへ
出てください
三、四人用の丸太を贈るから
しっかり結んで
ほどけないよう
それは彼の仕事だ
それで彼女はカレーを煮て
どんな野菜も肉も
いろとりどりの香辛料も
ぜんぶ煮て
まろやかに
あたたかくして
白いご飯といっしょに
みんなでたべるんだ
それはとても
たのしそうじゃない




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