試 み 6/るか
叙景とは無縁な、ある殺伐とした抒情の対象であり、さまざまな恐怖がそのなかに呑み込まれてある。かぞえきれない犠牲のために、わたしたちはおそらく残酷さについても触れない訳にはゆかないのだ。あかるい生活の安寧をもとめるけなげな心よ、どうか赦してほしい。わたしたちは詩によって言葉を刻みこむことを意志しているのではない、刻まれたものを明らかにすること、世界は無数の傷だらけの言葉に震えているのである。}
あい
あいは どこへ いった
この 世界は
ひきちぎられた
叫び で いっぱいだ
風は 叫びを はこぶために
うめいている きょうも
明日も
あいは どこへ いった
あいは どこ
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