試 み 6/るか
 
どこへ



わからないことはそっとしておいて、わかることだけをかんがえようではないか。そう友人たちはきみを宥めるだろう。ままよ、きみはそれを誘惑として退ける作法を既に学んでしまっていた。おわりない苦悩がひかりに満ちたものであることを友人たちは忘れてしまっていたのだ。きみの苦悩する瞳は天国を生きるかのように輝いているのをわたしは知っている。



この 道を ゆこう
この 道を ゆこう、と
おもった
風の道。
呻きをあげる わたしたちの 風の
ひきちぎられた叫びは
花のように まいあがっては
つぎの季節へと
手渡されて ゆくから、
わたしたちは この道の途中で
風に ふかれて、



ただ不可能なものだけが宥めるのだ、きみを。

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