宵の挨拶/北街かな
ばしました。私だけが三日月のひかりの真下に取り残されたので、より鳥肌がひどくなりました。
推測でしかありませんが、きっと三日月は「あら その悪魔 ダレ」と私に質問をしたかったのだろう、と考えます。確証など当然ありません。三日月と私とは今夜初めて会話をしているのですから、意思の正しい疎通なんてほとんど無理でしょう。ですが、私はそう問われたものと勝手に決め付けたので、さっさと返答してしまうことにしました。こんな近くで、このような恐ろしい音を出され続けたら、私もいい加減ばらばらに砕けてなくなってしまいます。
私も歌ってやりかえします。
この悪魔は知らないあくま
あくまでも見知らぬ
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