宵の挨拶/北街かな
 
まにわれわれのいる地上へと堕ちてくるではありませんか。夜空を刻むのみに飽き足らず、私どもの大地までもをスッパスッパとケーキみたいに切り分けてしまおうというのでしょうか。どちらにせよあの勢いのまま、あの鋭い切っ先を地上へと叩きつければ地球は大変なことになってしまうでしょう。
 私はことの重大さに気づくころにはすっかり反抗的な歌などやめてしまっておりましたが、三日月はぜんぜん気づかないのです。逆上とはまさにこのことを言うのでしょうか。さて、私はどうしたら良いのでしょう。悩むひまなど御座いません、月の落下を阻止しましょう。出来ますか?

 足首に絡むまっくろ悪魔は、
 出来ない、
 出来やしな
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